スギハラ・サバイバル   (手嶋龍一著‏) [小説]

いわずと知れた元NHKワシントン特派員の著者による「インテリジェント小説」

ほとんどノンフィクションと言ってもいいかと思うが本人(だけ)がフィクションと言い張っているので一応ノンフィクションということで。

スギハラはこれまたいわずと知れた「杉原千畝」

戦時のリトアニアでポーランドを中心とする東欧諸国から逃れてきたユダヤ人に日本への出国ビザを与え続けた「日本のシンドラー」

このリトアニア経由という背景もすごい。

当時独ソ不可侵条約という破られることを前提とした条約の下、ポーランドを含む東欧諸国はドイツとソ連に”勝手に”分断された。

ドイツの支配下では当然ユダヤ人の未来はなく、ソ連の支配下でもシベリアで死ぬまで強制労働するしかない絶対絶命の危機に面していたユダヤ人。

そういった中、当時ポーランドの都市であった国境の町ヴィリュニスがリトアニアに「投げ与えられた」。

ヒトラーとスターリンがやがてソ連に呑み込まれる運命の小国の歓心をいっときだけ買おうとしたのだ。

その、「ほんの一瞬」=ヴィリュニスがリトアニア領になり、リトアニアがソ連の支配下になる前のほんの一瞬に6000人のユダヤ人がスギハラ・ビザにより命を救われた。

彼らを「スギハラ・サバイバル」と呼ぶそうだ。

この本はそのスギハラ・サバイバルで生き延びたユダヤ人とリーマンショックや9.11テロの裏を描いている。

以前同著者の「ウルトラ・ダラー」を読んだ時にも思ったのだが、NHKワシントン特派員ともなるとこれだけ情報が集まるものなのだと驚くと同時に感動する。

逆にこういった「インテリジェンス」を持った人たちとのコネクションがなければ勤まらないのかもしれない。

BBCの海外特派員の多くが実際「インテリジェント・オフィサー」といわれているくらいだから当然といえば当然か。

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