果つる底なき   (池井戸潤著) [小説]

銀行を舞台にしたミステリーなのだが、著者は元三菱銀行行員で法人向け融資を担当していたというだけあって、内部事情が非常に詳しく描かれている。

実を言うと自分の父親は銀行員だった。
多分一般顧客担当だと思うが。
一般顧客担当なのと昔のことなので、よく言われる貸し剥がしなど携わっていないことを祈りたい。
まぁ、「一匹狼」だったらしく、そこまで出世してないけど。

この作品の主人公もそうだが、よく銀行の汚職や貸し剥がしを題材にしたドラマや小説では同時に担当者の苦悩も描かれる。
やはり、どこの世界でも組織と個人の思いというのは一致しないものなのだろう。
ましてや、融資担当という仕事は直接現場に足を運んで、顧客企業と一心同体の様に成長していくというところがある様なので、断腸の思いで追加融資を断り、その結果倒産となると、やはり自責の念は免れないのかもしれない。
ここでもやはり現場と経営陣との乖離である。

ストーリーはある仲間の死の事後処理をしている主人公が不審な点に気付き、経営陣からの妨害工作に抗いながら、一人で闇に立ち向かう。
その結果、銀行内部の腐敗が見えてくる・・・
と言う、見方によってはよくある話。
ただ、先に述べたように、銀行で実際に働いていた著者の作品なので、非常にリアルである。
また、ディテールの細かさとあわせ、わかっていてもぐいぐいと魅かれ一気に読んでしまった。

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