きみ去りしのち   (重松清著) [小説]

幼い息子を失くした父と、人生の終焉を迎える母に寄り添う少女の巡礼の旅。
奥尻、オホーツク、阿蘇、出雲、与那国、島原・・・日本の原風景にも出会える。
やはり、日本の古くから伝わる行事や伝統は美しいと思った。

物語は決して単調でも抑揚がないわけでもないのだが、すごく静かに進んでいく。

また生と死はやはり別々のものではなく、人間の1つのサイクルなのだと思わせられ、少しやさしい気持ちになれる様な気がする。

何よりも文体が美しい。

ある女性について思いを馳せる場面がある。

あなたは-
やっていることややろうとしていることが、めまぐるしく変わった。
あなたは-
自分自身の人生に慣れることがどうしてもできなかったのか。それとも慣れてしまいたくなかったのか。
どっちなのだろう、あなたは-

自由奔放に生きて、周りに迷惑もかけて、出会いと別れを繰り返す。そんな女性。

大滝詠一の「恋するカレン」が頭の中に流れた。
「Oh Karen 振られた僕よりも哀しい。 そうさ哀しい女だね、君は。。。」ってやつ。

幸せを必死に求めて、でも幸せにはなれない。。。。でも、要領よく生きている女性よりもずっと魅力的なのだと思う。

逆はどうなのだろう? 女性にとってそういう男性は。


後半、野焼きのシーンが出てくる。
遠目には美しい野焼きも、現場では火が燃え移らないように、灼熱の中の闘いが続いているのだ。
京都の五山の送り火なんかも、見ている分には幻想的で美しいけれどきっとそうなんだろうな。
自分はボランティア精神あまりないし、我儘なので、そういった影の力持ちみたいなのは出来ないかもしれないけど、
何事においてもそういう人たちがいるということ、その人たちの感謝の気持ちは持っていられる人間でありたいと思った。
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