前世への冒険   (森下典子著‏) [ノンフィクション]

女優の杏による表紙でドラマ化となっていたので、すっかり小説だと思って買ったが、ノンフィクションだった。
ちなみに杏はこの本を初めて読んだのはまだ女優になっていない10年前だそうだ。
それも運命なのか、それとも杏が読書家だからなのか・・・(年間100冊程読むらしい)

作者は雑誌の取材で「京都に住む前世が見える女性」と会う事になる。
この作者は超常現象や幽霊など、非科学的な現象は全く信じておらず、ましてや前世は「仏教上、悪事を戒める為に創造された“教え”」と言う認識で、それが見えるということ自体あり得ない、と思っている。
そして、取材で言われた前世もはなっから信用しておらず、原稿が進まない為、当日その女性が言ったある言葉が他の前世の存在もほのめかすものだったことから、それも見てもらって「羅列でもするか」という気持ちで再度京都を訪ねる。

そこで出てきたのがルネサンス期・イタリアの彫刻家デジデリオという人物。

ダ・ヴィンチやミケランジェロほど有名ではないので、彼に書かれた本自体は少ないが、ルネサンスの書物では常に出てくる彫刻家。
と、言っても作者はその存在さえ知らないので、書店でルネサンスの本を手にしたところ、その他詳細にわたり具体的に語られた内容と一致していることがわかる。
ただ、その書店が京都であるため、「これがネタ元か?」と言う気持ちでその本を買って再度読み直したところ、この本では語りつくせないこと、また記載と出生地など細部が異なる部分があることから、他の資料も調べてみるところから、この旅が始まる。

作者も最後に書いているように、語られる詳細が一致していたとしても、彼女がデジデリオの「生まれ変わり」と言う証拠はなにもない。作者自身もその点についてはわからないとしている。
ただ、冒頭・巻末に作者が書いているようにこの本に書かれていることはすべて事実ということだ。
そしてここに書かれていることがすべて事実だとすると、やはり科学では証明できない何かがあることは間違いないと思える。
そして物語は前世かどうかと言うよりもデジデリオの真実を追究する旅へといつの間にかなっており、そこで明らかになる真実はやはり驚きである。
そして、デジデリオは500年の時を超えて何を語り掛けたいのか
そう思わずにはいられない。

とても不思議で、幻想的で、そしてとても美しい。

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